「 小説 」 一覧
-
2020/06/01 -小説
と、不意にテレビモニターに電源が入り、妙なファンファーレが鳴り響く。突然の大音量に、鼻沢さんも驚いて思わずテレビモニターに目をやる。すると…画面いっぱいに、老いた男の顔が映し出される。上は禿げて両サイ …
-
2020/05/30 -小説
建物の外観は悪趣味だったけど、敷地と建物はやたらと広く大きい。大きな玄関をあけると、青い作業着の男は、「おーい、牛泥棒の一味を連れてきたぞー」と受付の女性に話す。笑顔が貼りついたまま離れないような女性 …
-
2020/05/28 -小説
鼻沢さんは、フットエンジンをかけてゆっくりと車を発進させる。「ねえ、少し牧場に立ち入ったからって、大げさじゃない?ちょっとした出来心なんだけどなあ?」「ちょっとした出来心?いやいや、分かんねえな、悪い …
-
2020/05/27 -小説
「悪かったわよ、勝手に入ったのは。でも呼びかけても誰も返事してくれなかったから…」「ふーん。なんの用事で来たんだい?」それは…と言いかけて、鼻沢さんは口ごもる。勝男の名前を出すのはまずいかも、と咄嗟に …
-
2020/05/23 -小説
鼻沢さんは内心怯えながら、でもそれを見透かされないように、毅然とした態度を装う。「分かったわよ、スマホは渡すわ」と、男の要求に従う。バックミラー越しに後部座席を見る。作業着のような青い服を着た中年の男 …
-
2020/05/22 -小説
「えー、それから、最後にご報告ですが、本日未明、都内病院において天然痘患者2名の発生を確認しました。1名は死亡、もう1名は治療継続中であります。保健所を通じて、同院を閉鎖、接触者の探索を開始しておりま …
-
2020/05/21 -小説
幸い勝男はすぐに電話に出た。「どうだい、鼻沢さん?」「しーっ、磯田君、言われた住所に来てみたのよ。一見したところただの牧場のようで、敷地の中の建物に入ってみたら、巨大な実験室になっているの。すごく怪し …
-
2020/05/20 -小説
部屋の中はやけにだだっ広く、高い天井から青白いLEDの灯りが冷たく照らしている。横長に並行して黒い台がしつらえられて、それぞれの台の前の棚にいろんな色の薬瓶やガラス器具が並べられている。黒い台の上には …
-
2020/05/19 -小説
鼻沢さんは、反射的にスッと身体を建物の中に滑り込ませる。磯田君は、 ここは怪しい、と言っていた。そして、ほかには手がかりがない、とも。もし、ここご本当に怪しいところで隠すことがあるのだったら、真正面か …
-
2020/05/18 -小説
なんとか建物の前までたどり着いた。牧場の入り口から見た時は分からなかったけど、奥に広がりがあって、ずいぶん大きい牛舎だ。屋根にはまた何匹かの猫がチョロチョロ走り回っている。肩に乗っていた猫も飛び降りて …