建物の外観は悪趣味だったけど、敷地と建物はやたらと広く大きい。
大きな玄関をあけると、青い作業着の男は、
「おーい、牛泥棒の一味を連れてきたぞー」
と受付の女性に話す。笑顔が貼りついたまま離れないような女性は、
「はい、承知しました。少々お待ち下さい」
と言ってなにやら内線電話をかけている。
そして、受話器を置きながら、
「お待たせしました。応接室3番にお越しください」
と変わらない笑顔のままで言う。
鼻沢さんは、青い作業着の男に背中を小突かれるようにして、エレベーターに乗り部屋に連れて行かれる。
「しばらくここで待ってろ!」
と、青い作業服の男に部屋に押し込められてしまう。鼻沢さんは、床に投げ出されるようにへたり込む。
テーブルを囲むようにひと組の黒い地味なソファーがしつらえられ、応接室のようだが、壁に大きなテレビモニターがついている。それ以外はまったく何もない殺風景な部屋。壁の青さが寒々しい。
外からカチリ、と鍵をかける音がする。
鼻沢さんはハッとドアに駆け寄りノブを見ると、内側からは出られなくなっている。ノブに手をかけるが、回すことができない。
…閉じ込められた…
鼻沢さんは慄然とする。
今日もいい天気、61、陽気な鼻沢さん続き
投稿日:
執筆者:hisatez