都内から高速で車を飛ばして2時間足らず。
磯田君に指示された場所に来てみたら…
「ただの地味な牧場じゃないの…」
丸太で作られた門と柵。乱雑に針金で巻いて組んでいるだけで、乱雑な造りだ。
門の前からすぐそこに、白と黒の牛が、モー…と呑気に鳴きながら草をはんでいるのが見える。獣の匂いが鼻をつく。
遠くの方で、人が牛舎に牛を引き込んでいる。その隣に大きな木造の建物。古い小学校の校舎みたい。
その奥に赤城山がそびえている。
「すみませーん!」
と何度か叫んでみるが、何の反応もない。聞こえないらしい。
仕方なく、柵を跨いで牧場内に入る。
牛は鼻沢さんにはまったく無関心な様子で、尻尾をブラブラ振りながらハエを追い払っている。
人の気配のある建物のほうに歩いていこうとするが、牧草が生えていたり不意にぬかるみがあったりしてなかなか歩きづらい。足下をよく確認しないと足をとられてしまいそうだ。
と、足から傘、肩に引っかかれたような痛み。思わず、痛っ!と声を上げる。
肩に重みがあり、見ると猫が勝手に乗っかってきている。猫はしっかり爪を立ててつかまっている。
鼻沢さんが、「降りてよ」という感じで睨んでも素知らぬ顔でしがみついている。人懐っこいというより、甘やかされて育ってきた猫だ。
まあ、鼻沢さんも猫は嫌いではない。
そういえば、磯田君の家にもタマとかいう猫が飼われていたっけ。走るとき、変な音がしていたんだよね…などと思い出してクスッと笑う。
仕方なく、鼻沢さんは、猫を乗せたまま建物のほうに歩いていく。
今日もいい天気、51、追跡
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執筆者:hisatez
