「ワクチンは…製薬会社に在庫があるのか?」
この質問には、政策医療課長が答える。
「WHOによる天然痘撲滅宣言が出て、我が国では1974年以降は、一般民間人へのワクチン接種はしておりませんでしたから、製薬会社はそんなに製造していません」
「全く無いのか?」
官房長官が語気鋭く尋ねる。
「いえ。天然痘は、生物テロに使われる蓋然性が高いので、自衛隊の海外派遣時や天然痘ウイルスを扱う研究者に接種されています。それに、万一、我が国の中で天然痘が散布された場合に備えて、自衛隊内に多少の備蓄はあります」
「多少とは…どのくらいなんだ?」
「おおむね1000万人分くらいです」
「1000万人分?!人口にくらべて全然足りないじゃないか!」
「…それは、国の安全保障の観点から政策的に決定された備蓄量ですので…」
「安全保障の観点からって…どういう計算なんだ?」
「日本が海外からのテロ攻撃を受けたと仮定して、計画されていまして…自衛隊員、医療従事者、現場で対処する公務員と民間人、政府等の公的要人に接種することを想定しています」
「しかし、流行してしまったら、特定の者だけに接種というわけにはいかんだろう?」
「そうですね…ただ、ある年齢以上、1974年以前に生まれた者は定期的に予防接種を受けていることになっていますので、免疫がある者が多いはずです」
「若い頃に予防接種を受けているはずだ、ということか?若い頃の予防注射でも、有効なのか?」
官房長官が質問を重ねる。
それを、茶谷医師が引き取る。
「一般的には、天然痘のワクチンは5〜10年くらい有効とされているが、抗体量を測定したレポートによると、おそらくもっと長く効果は続き、終生免疫が持つと考えても良いと思います。しかし、人によっては免疫の効果が弱まって、予防接種を受けた世代でも、あまり高齢だと罹患してしまう者も多少は出るでしょう。」
「ふむ。では、1974年以降生まれの者にワクチン接種すれば良いということなんだな?」
と総理が確認する。
今日もいい天気、48、カスケード続き
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執筆者:hisatez
