「いつもそうやって知らないふりをするのね。感心しないわ。」
川上弘美「蛇を踏む」(文春文庫)
第115回(平成8年上期)芥川賞受賞作品。
蛇は化けると思いますか。
蛇は女に化けるのです。
人に尽くします。
すぐに正体を現します。
蛇の世界に誘います。
蛇の世界はあたたかいわよ…
ヒワ子は蛇を踏んだ。帰宅すると、母だと名乗る他人が待っていた。蛇が化けたものだった。
まぐあいのときに相手が蛇になっていたり、勤める数珠屋の奥さんが叔母に化けた蛇と同居をしていたり、曽祖父が女に化けた鳥と駆け落ちをしていたりと、ヒワ子には因縁があった。
どうして蛇なんですかね、とM川さんが無邪気な質問をする。
柳田國男を読めば事足れり、とM浦さんが喝破する。
この蛇は内界のものか外界のものか、とH岡さんが苦悩する。
レズビアンの話でしょう、とO山さんがほくそ笑む。
蛇の交合や耳小骨と舌顎骨の関係について、K村さんが講義する。
思わせぶりな展開にA井が慨嘆すれば、そこがいいのです、とY森さんが弁護する。
「踏まれたらおしまいですね」「踏まれたので仕方がありません」と蛇は言う。
昼下がりのあの七人も、踏んでいたり、踏まれていたり、していたのかもしれない。
宵の口、居酒屋に入ると、鳥が出た。ビールや冷酒を飲んで、喉を潤した。ITからエロまで、蛇のくねくね草原を進むがごとく、話は深更までに及んだ。
芥川読書会、楽しいかったわね。いつもそうやって知らないふりをするのね。あんまり感心しないわ。
…と蛇に言われたところで、いつか芥川読書会でお会いしましょう。
(written by ヨックムド氏)
「蛇を踏む」ひさやんの感想
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