「ただ砂を掻き出すだけの一生は滑稽だ、と笑うことはできるだろうか?」
令和元年6月
「砂の女」安部公房(新潮文庫))
今回は普段と違うスタイルで進行した。
はじめに、各人が少しずつ感想を述べたあと、章ごとに書かれている内容を順に確認しながら、その章までのストーリーについて感想を述べ合っていく、というスタイル。
男(仁木順平)がまんまと村に取り込まれていく過程を丁寧になぞっていくことができた。
男が砂の村に来た動機、自分が拉致されつつあるということに気づき始める頃合い、またそれに気づいても「そんなはずはない」と思い込もうとする心の動き、村が男の気持ちや行動を先回りして、脱走させないための手立てを打っていく様子。
「砂とは何か」「私たちも、砂を掻くことだけに人生を費やす人々を笑えないかもしれない」といった意見が出ました。
「砂」とは、この世の矛盾、そしてそれをいやがおうでも受け入れさせられてしまう圧倒的な圧迫感を表したり、女というもののつかみどころのなさを表したりしているのだろう。
男が穴から脱出することに成功したものの、蟻地獄のような沼にはまって村からの脱走には失敗するところ。大の大人がめそめそ泣いて可哀相だ、その時の村人の反応も、男に怒りや悲しみの反応を見せるのでなく呑気そうに男に声をかけているのは不気味でかえって怖い、などの感想がありました。
比喩の的確さ、適度な省略でイメージが鮮明である、ストーリーのアウトラインがしっかりしていて分かりやすい、という指摘もあり。
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