「慎ちゃんは、昔から慎ちゃんだった!」
平成27年11月
「太陽の季節」石原慎太郎
「太陽の季節」石原慎太郎(ページ数は新潮文庫第68刷改定版)
著者の代表作である表題作ほか、同時期に書かれた短編小説が4編入ったアンソロジー。
「太陽の季節」
昭和30年ころに、大学生が自動車やヨットを乗り回すなんて本当にそんな世界があったんだろうか…などと思ってしまうが、本当にあったみたいですね(^_^;)
ヨットでの逢引きの前後で、竜哉が英子に好意を抱いていたのが逆転して英子が竜哉に降参するように惹かれていくのが、ちょうどボクシングの試合をなぞらえているようで面白かった、やたらと恋愛の話ばかりが偏って出てきて、竜哉の自意識・自己愛の過剰さに辟易した、などの意見があり。
また、何人もの女を捨ててきた竜哉が、どうして英子を特別に思ったか、というのは、切り詰めていえば「簡単にはやらせないから、落とし甲斐があると感じた」ということのようだ…
やたらと事故や手術で死ぬ人が多い、との指摘があったが、当時は結構、はずみで人が死ぬことが多かったようなので、この頃の安全に対する感覚はこのくらいだったんでしょう。
逆に、喧嘩で思い切り人を殴っても、ちょっと怪我をしたくらいで済んでいるけど、本気で人を拳で殴ると、もっと大怪我をするのではないのかな、という点がちょっと嘘くさいと感じました。
この作品が発表された時、非常にセンセーショナルで作品に対する賛否が大きく分かれた、ということです。でも、作品の本質的内容についての議論はあまりなかったらしい。
「灰色の教室」
虚無感が支配的で自殺企図を繰り返す高校生を、周りの生徒の視点で描いた作品。人格的に未熟で動揺しがちな人物像を描きたかったと思われるが、あまり成功していない。だからどうして死にたくなったのかが判然としない。戦前から頻発していた三原山の心中事件などから連想して書いた小説かもしれない。「気遅れ」と、「気後れ」の誤記がある。
1冊のすべての作品を通して、過剰に大袈裟な表現が多くて気障、というのはこの頃からなんだねえ、と参加者みんなで納得。編集者の意見なんか訊かないでやってきたんだろうなあ。
今回も充実した議論ができました。
参加者の皆様に感謝申し上げます。
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