「お菓子を売るのに、こんなに大々的に広告して、赤字にならないんだろうか?」
「パニック・裸の王様」開高健(新潮文庫)
「パニック」
どこかで読んだことがあると思ったら、中学時代の教科書に文章の一部が載っていたという方がいました。
ネズミという集団が、異常に増殖したにもかかわらず、不可解な力が作用して最終的に壊滅してしまうように、
人間たちも打算や虚栄のために不合理なふるまいを続けていく皮肉を描いた作品。
「巨人と玩具」
香水を作るとき、単純に良い匂いを集めても良いものはできず、
癖のあるクサい匂いを組み合わせないと優れた香水にならないという。
新人モデルを発掘するのに、すんなりした標準的美人ではだめで、
「貧しさと若さと笑いは大衆のものだった」(120ページ)と、
どこか予想を裏切る要素がないと、モデルとしてはインパクトがない、というのはリアルだ。
食中毒問題は、やっぱりM永の粉ミルク事件を下敷きにしているだろうね、と話していました。
「裸の王様」
親や先生の都合の中で、子供が押しつぶされるということは、1970年代はよくありました。
しかし、この話は若干あざといかな、とも思いました。
「流亡記」
秦の建国当初の民衆を描いたもの。現代に住む私たちは、歴史を学んでいて
「昔って理不尽なことがよく起こったんだな」と思うことがあるけど、
未来になってみたら現代も理不尽な時代と言われるかもしれない。
このアンソロジーを通して、開高さんの社会の不正義に対する怒りが伝わってきました。
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